糖尿病って何?

栄養関係

1. 糖尿病(とうにょうびょう)ってどんな病気?

糖尿病は、体の中で「インスリン」というホルモンがうまく働かなくなって、血液の中のブドウ糖(血糖)が増えすぎてしまう病気です。インスリンは、食べ物からとった糖を体のエネルギーに変える大事な働きをしています。

インスリンが足りなかったり、うまく使えなくなると、糖が体の細胞に入れなくなってしまい、血液の中にたまってしまいます。これが続くと、心臓や目、腎臓(じんぞう)、足などに大きな病気(合併症)が起きることがあります。


2. 糖尿病にはどんな種類があるの?

糖尿病には主に4つのタイプがあります。

  • 2型糖尿病
    日本人の多くがこのタイプです。インスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりして血糖値が高くなります。食べすぎや運動不足などの生活習慣が関係しています。
  • 1型糖尿病
    体の中の免疫の働きで、インスリンを作る膵臓(すいぞう)がうまく働かなくなります。インスリン注射が必要です。
  • 他の病気や薬が原因の糖尿病
    他の病気や薬の影響で起こることもあります。
  • 妊娠糖尿病
    妊娠中に初めて見つかる糖尿病です。赤ちゃんが生まれた後は治ることもあります。

    ※妊娠糖尿病とは、妊娠前には糖尿病と診断されていなかった女性が、妊娠中に初めて血糖値の異常(糖代謝異常)が見つかる状態を指します。

    妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響で、誰でもインスリンが効きにくくなり血糖値が上がりやすくなります。このとき、もともとインスリンの働きが弱い体質や、2型糖尿病になりやすい遺伝的な素因がある人は、妊娠をきっかけに血糖値が基準を超えてしまい「妊娠糖尿病」と診断されます。

3. 糖尿病の症状(どんなサインがあるの?)

糖尿病は最初はほとんど自覚症状(自分で気づく症状)がありません。でも、血糖値がとても高くなると、次のような症状が出てきます。

  • のどがとても渇く
  • すぐに疲れる
  • 食べているのに体重が減る
  • すごくお腹がすく
  • トイレに行く回数が増える

こうしたサインがあったら、病院で診てもらうことが大切です。健康診断で早めに見つけることもとても大事です。


4. 糖尿病のこわさ:合併症(がっぺいしょう)

糖尿病が長い間続くと、いろいろな合併症(他の病気)が起こります。

4.1. 慢性合併症(長い時間かけて起きる病気)

  • しめじで覚えよう!
    • :神経障害(しんけいしょうがい)
      手や足がしびれたり、痛くなったりします。ひどくなると足を切断しなければならないこともあります。
    • :網膜症(もうまくしょう)
      目の奥の血管が傷ついて、見えにくくなったり、失明することもあります。
    • :腎症(じんしょう)
      腎臓が悪くなり、むくみや尿にタンパクが出るようになります。悪化すると人工透析が必要になることもあります。
  • えのきで覚えよう!
    • :足の壊疽(えそ)
      足の血管が詰まって、傷が治らなくなり、足を切断することもあります。
    • :脳卒中(のうそっちゅう)
      脳の血管が詰まったり破れたりして、手足が動かなくなったり、言葉が出なくなったりします。
    • :虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)

      虚血性心疾患とは、心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化などで細くなったり詰まったりして、心臓に十分な酸素や栄養が届かなくなる病気で、代表的なものに心筋梗塞や狭心症があります。糖尿病は動脈硬化を進行させるため、これらの心臓病のリスクが高くなります。

4.2. 急性合併症(急に起こる危ない病気)

  • 糖尿病性昏睡(こんすい)
    血糖値がとても高くなったり、逆に低くなったりして、意識がなくなってしまうこともあります。すぐに治療が必要です。

5. 糖尿病の診断(どうやって見つけるの?)

  • 血糖値の検査
    朝ごはんを食べる前の血糖値が126mg/dL以上だと糖尿病と診断されます。
  • ヘモグロビンA1c(エーワンシー)
    1~2ヶ月の血糖の平均を調べる検査です。6.5%以上だと糖尿病の可能性が高いです。

自覚症状がなくても、定期的に検査を受けることが大切です。


6. 糖尿病の治療と予防

6.1. 治療の基本

  • 食事療法
    食べすぎに注意して、バランスの良い食事を心がけます。野菜や食物繊維をしっかりとりましょう。
  • 運動療法
    ウォーキングやジョギングなど、体を動かすことで血糖値を下げることができます。
  • 薬物療法
    食事や運動だけで血糖値が下がらない場合は、薬やインスリン注射を使います。

6.2. 早期治療の大切さ

糖尿病は早く見つけて治療を始めるほど、合併症を防ぐことができます。特に腎臓の病気は早めに見つけて治療すれば、元の状態に戻ることもあります。

6.3. 予防のためにできること

  • 食べすぎに注意して、ゆっくりよくかんで食べる
  • 毎日少しでも運動する
  • たばこを吸わない
  • お酒はほどほどに
  • ストレスをためない
  • 定期的に健康診断を受ける

もし合併症が見つかったら、すぐに病院で詳しい検査や治療を受けましょう。


まとめ

糖尿病は、インスリンがうまく働かなくなって血糖値が高くなる病気です。最初は気づきにくいけれど、放っておくといろいろな怖い病気(合併症)につながります。食事や運動に気をつけて、健康診断を受け、早めに治療することがとても大切です。