サンタの準備
クリスマスが近づくある日、北極の工房ではサンタクロースが忙しく働いていました。エルフたちがプレゼントを作り、トナカイたちがソリを整えています。サンタは「今年も子どもたちに喜んでもらうぞ!」と気合いを入れていました。
しかし、サンタには一つの大きな問題がありました。最近、物忘れがひどくなっていたのです。特に、プレゼントのリストを作ることをすっかり忘れてしまいました。
リストなしの出発
クリスマスイブの夜、サンタは「よし、出発だ!」と叫びながらソリに乗り込みました。トナカイたちが元気よく「メリークリスマス!」と鳴き声を上げる中、サンタはプレゼントのリストがないことに気づきました。
「まあ、なんとかなるだろう」と楽観的に考えたサンタは、トナカイたちに指示を出し、空へと飛び立ちました。
最初の家
最初の家に着いたサンタは、「ここには何を置こうかな?」と考えました。しかし、袋から取り出したものはまさかの「巨大なカボチャ」でした。
「ハロウィンじゃないんだよ!?」とトナカイに突っ込まれながらも、サンタはそのままカボチャを置いて去りました。家の中では子どもたちが驚きながらも、「わあ!カボチャだ!」と喜んでいました。
次の家では「古い靴下」を選びました。
「古い靴下あげてどうすんだよ!」
とトナカイに突っ込まれながらも、そのまま配達を続けました。
大混乱
夜が進むにつれて、サンタの配達はますます奇妙になっていきました。ある家では「誰かのおばあちゃんの古い眼鏡」を置き、別の家では「冷めたピザ」を配達しました。子どもたちは驚きつつも大笑い。
「これがサンタからのプレゼントなの?」
と興奮していました。
「冷めたピザ」を配達された家庭では、お父さんが目を丸くして言いました。
「これ、俺が昨日食べ残したピザじゃないか!でも、まあいいか。サンタからの贈り物だからな!」
サンタの思い込み
サンタは次々と家を訪れながら、「自分は最高のプレゼントを届けている」と思い込んでいました。しかし、その実態は全く違っていました。次に訪れた家では、「トイレットペーパー」を選びました。
「これもクリスマスには欠かせないアイテムだ!」
と自信満々で置いて帰りました。
その家では母親がトイレットペーパーを見て、「これって…本当にサンタから?」と不安になりながらも笑ってしまいました。
最後の家
最後の家に着いたサンタは、「さあ、これで終わりだ!」とホッとしました。しかし、何を置くか全く覚えていませんでした。そこでまたしても袋からランダムに取り出したもの、それは「トイレットペーパー」でした。
「またこれか!」
と自分で突っ込みながら、そのまま置いて帰ることにしました。そして北極へ戻る途中、「今年も大成功だった!」と自画自賛していました。
サンタの帰還
北極に戻ったサンタは、自信満々でエルフたちに報告しました。
「今年も素晴らしいプレゼントを届けてきたぞ!みんな喜んでいたに違いない!」
しかし、その翌朝ニュースで流れた内容を見て驚愕しました。「今年のクリスマスプレゼントは奇妙すぎる」と報道されていたからです。子どもたちが受け取ったプレゼントについて、「カボチャやピザが届いた」と笑いながら話している様子が映し出されていました。
「なんてこった!これはまずいぞ!」
と慌てるサンタ。しかし、その映像には子どもたちが楽しそうにカボチャで遊んだり、おばあちゃんの眼鏡をかけたりする姿が映っており、一見すると楽しそうでした。
新しい伝説
結局、その年のクリスマスは「うっかりサンタ」の年として語り継がれることになりました。子どもたちはその奇妙なプレゼントを楽しみながら、「来年は何が届くかな?」とワクワクするようになりました。
ある子どもは言いました。
「来年こそ、本物のおもちゃが欲しいけど、また変なのでもいいよ!」
他の子どもたちも同意し、大笑いしました。
サンタ自身の反省
一方でサンタ自身も、この出来事を通じて多くのことを学びました。「次回はちゃんとリストを作るぞ!」と心に誓ったものの、彼はその後もエルフたちとの会話や仕事で忙しくなかなか時間が取れませんでした。
それでも彼は毎晩、自分自身に問いかけました。「本当に子どもたちは何を望んでいるんだろう?」そして心から楽しむことこそが、本当のクリスマスなのではないかとも思うようになりました。
エルフたちとの協力
翌年、サンタはエルフたちとの会議を開きました。「今年こそリスト作りを徹底しましょう!そして、新しいアイデアも取り入れたい!」
エルフたちは賛成し、新しいプレゼントアイデアやテーマについて話し合いました。その結果、「ユニークなプレゼント」をテーマにすることになりました。例えば、自分だけのお菓子作りキットや、自分だけのおしゃれな帽子などです。
新しいクリスマス
そして迎えたクリスマスイブ。サンタは今年こそ完璧な準備を整えました。リストもしっかり作成し、新しいアイデア満載で出発しました。しかし、
当日、サンタはそのリストを忘れて出発してしまいました。
各家庭でプレゼントを開ける瞬間、子どもたちは期待に胸を膨らませていました。
その中身のほとんどは、去年と大差ありませんでした。
メリークリスマス!